少年はいかにしてオナニーの証拠を隠してきたのか

物心ついた頃にはオナニーの虫だった。

「チンコをしごけばピュッと出る」という人体の神秘を発見したときの僕の感動は、リンゴが木から落ちるのを見て万有引力を発見した偉大なるニュートンに匹敵するだろう。

リンゴは木から落ちるし、チンコはしごけばピュッと出るのである。

中学2年生。
僕は覚えたてのオナニーに没頭していた。

寝ても覚めてもチンコをしごき、地元では「戦場のオナニスト」の名を欲しいままにした。

ヒデヨシは女体は知らぬ。
ただチンコのしごき方のみに精通していた。


されども中学2年生。
実家暮らしの少年にとって、オナニーが親にバレることは死に等しい屈辱である。

オナニーは絶対に親にバレてはいけない。
オナニーの証拠は完全に消しさらねばならぬ。

オナニー隠滅は僕の試行錯誤の歴史でもある。

なにせオナニーは臭いがきつい。

オナティッシュを放置してしまうと、部屋には吐き気を催す生臭い香りが漂い、その不快な臭いによってオナニーがバレてしまう。

なんとしてもオナティッシュを消滅させなければならなかった。


どこか証拠を隠せる場所がないかと家中を探し回って最初に見つけたのが「トイレ」だった。

家の中にあって、唯一合法的にティッシュを流せる場所がトイレである。

1928年の夏、アレクサンダー・フレミングは培養液の中に偶然生えていた青カビから世界最初の抗生物質であるペニシリンを発見した。

同じように僕は、トイレで用を足しているときに偶然、

「このトイレにオナティッシュを流せば証拠は完全になくなるではないか」

と発見してしまったのである。

しかしこの試みは数日後、完全に破綻する。

トイレが詰まってしまったのだ。

そんな馬鹿な...。完全に盲点だった。

トイレットペーパーはトイレが詰まらないように水に溶けるようにできている。

しかしオナティッシュは水に溶けない。
トイレに流したら詰まってしまうのだ。

あえなくトイレ作戦を封じられた僕は、次なる策を考えた。

焦土作戦である。

実家はど田舎中のど田舎だったため、小さな焼却炉のようなものが庭にあった。

「僕はもうおとなだから、自分のゴミは自分で処理するんだ」と宣言し、オナティッシュごと燃やしてしまう作戦に出た。

この作戦はうまくいったものと思われたが、なぜか毎日毎日ゴミを燃やしていたので親に怪しまれてしまった。

「なんで毎日ゴミを燃やすんだい?」

「そこにゴミがあるからさ」

なんて言い訳が通じるわけもなく、僕の焦土作戦は封印されることとなった。
それに、いちいち外に出てゴミを燃やすには田舎の冬は寒すぎたのだ。

試みはことごとく失敗した。

しかし僕は諦めなかった。

エジソンは言った。

「私は一度も失敗していない。
うまくいかない10000通りの方法を発見したのだ」

私も失敗していない。

隠しきれないオナニーを10000通り発見したのだ。

そもそも僕からオナニーを取ったら何も残らない。

真っ白な灰だ。
精子の残りカスだ。
賢者タイムだ。

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道は必ずある。
次に閃いたのは、「風呂」である。

中学生の豊かな想像力で、風呂の湯気におかずを妄想し、風呂で抜き、流す!

僕に残された聖域は風呂しかなかった。

しかし風呂で作戦を決行した直後、重大な過ちに気付くことになる。

タンパク質は固まるのだ。

風呂のお湯に浮かぶ“僕自身”の残りカスを見つけた瞬間青ざめ、容赦なく風呂のお湯を抜いた。

まさか自分のチンコだけでなく、お湯も抜くことになるとは...

固まった残りカスほど明確な証拠はあるまい。

結局、僕がオナニーに専念できる場所は実家には存在しなかった。
どこで抜けというのだ。

オナニーは戦争である。
一流の軍師は敵を殲滅すると同時に、自分の逃げ道も確保する。

逃げ道を確保せぬまま攻め込む阿呆はいない。

僕はやむを得ず「異臭を異臭で消す」作戦を決行し、部屋に「お香」を焚き、時に香水を撒き散らし、オナティッシュの臭いを封印しようと試みた。

そんな証拠隠滅人生が終わったのが一人暮らしが始まった大学生からなのだが、次からは浮気の隠滅という新たな闘いが始まることになる。

その闘いの歴史は「俺の遺言」に記した通りである。

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